ECBとEFSF 2011 11 26

 あまりも長引く欧州債務危機に対して、
多くの日本人は、驚き、そして、うんざりしているでしょう。
 こうした危機が「不治の病」や「未知の病気」ならばともかく、
バブル経済崩壊後によくある経済現象なので、
「どうして有効な対策を打たないのか」と疑問を感じているでしょう。
 確かに、欧州には、処方箋もある上に、
危機を解決する機関もあります。
それは、ECBやEFSF(欧州金融安定基金)です。
 しかし、こうした機関は、
ドイツの強い反対で、身動きが取れなくなっているのです。
だから、欧州債務危機は、長引き、
ドイツ以外の国は、衰弱死へ向かいつつあります。
 では、どうして、ドイツは、反対なのか。
それは、ドイツの歴史に原因があります。
歴史の教科書にあるように、
ドイツでは、驚異的なインフレに苦しんだ時代があるのです。
そういうわけで、将来のインフレを連想させる政策には、
ドイツは、一切、反対という立場です。
その結果、ECBもEFSFも、休眠状態に近いと思います。
 「会議は踊る、されど進まず」
これも、歴史の教科書には、よく出ているでしょう。
やはり、欧州の伝統でしょうか。

ECBとFRB 2011 11 19
 私は、2011年9月24日に、
ユーロ圏を「欧州合衆国」と見た立てて、
意思決定の遅さを指摘しました。
「欧州合衆国」をアメリカ合衆国と比較すると、
その問題点が際立つでしょう。
 しかし、もうひとつ比較できるものがあります。
それは、ECBとFRBです。
同じ中央銀行でありながら、
危機に際して、その行動は、あまりにも対照的です。
 FRBが、強い意志と大胆な行動によって、
次々に危機を鎮火させてきたのに対して、
ECBは、ギリシャから始まった火事が、
欧州各地に飛び火しても、傍観しているように見えます。
 なぜなのか、不思議です。
このままでは、ドイツ以外の国は弱体化してしまうでしょう。
ドイツも、不景気の影響を受けるでしょうが、
結果的に、相対的に、ドイツはユーロ圏で強力なものとなるでしょう。

欧州合衆国 2011 9 24
 よく言われることは、
日本の首相は、毎回、1年で交代するから、
日本は、政治力がないということです。
 しかし、本当は、日本よりも、
欧州の方が政治的に問題が大きいのです。
 ユーロ圏を「欧州合衆国」と見れば、
欧州合衆国の「大統領」は、日本の首相よりも弱いでしょう。
 欧州の政治家たちは、
「欧州大統領」の権限を弱体化させるように努力してきたと言えるでしょう。
 なぜならば、欧州大統領が強力な政治指導者になれば、
フランス大統領やドイツ首相は、「州知事」になってしまうからです。
 欧州合衆国をアメリカ合衆国と比較すれば、
その問題点が、明白になります。
 アメリカの場合は、いざとなれば、
国民から批判されるでしょうが、
アメリカ大統領は、何でもできます。
強権を発動することすらできます。
 要するに、ユーロもEUも、
平時の体制であり、有事は想定していないのです。
 欧州の迷走は、
ユーロ(EU)が解体されるか、
フランス大統領やドイツ首相が「州知事」になるか、
それまで続くでしょう。



































































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